わたしには命をつむぐ力がない。

自分でもわかっていたし、今さらそんなこと悲しくもないと思っていました。
でも、改めてあのふしぎな女の子の言葉を聞き、わたしはその夜一晩じゅう泣いてしまいました。
どうして自分は産まれてきたんだろう、そんなことを考えたりして---

でも、それでかえって楽になった気がしました。

わたしは、同じクラスの喬木くんのことが小さい頃から好きでした。
彼とはずっと仲のいいともだちで、わたしたちはなんでも打ち明けて相談しあえる
間柄でした。
そんな喬木くんがあるとき改まった態度でこっそりと話しかけてきたのです。
「おまえ、直枝と仲いいだろ?……アイツ、彼氏とか居んのかな」
それは、わたしの女友達への恋愛相談でした。
 直枝さん---由比ちゃんはわたしとちがって、綺麗な長い髪の妖精みたいな
女の子でした。おっとりしてて、優しくて、男の子たちに好かれるのも
よくわかるかわいい女の子です。
「フリーだからって、由比ちゃんにも選ぶ権利があるんだかんね〜」
胸の奥のちいさな痛みをこらえ、わたしはくすくす笑ってみせました。

……だいじょうぶ。

 だって、わたしは好きな人と一緒に歩くことができないから。
かなわないってわかってるから、迷う事無く二人を応援できる。

鈍感、って言っちゃいたくなるくらい純粋な由比ちゃんは
いろんな男の子のアプローチにも気づいていなかったのか、まだ
つきあっている人はいません。喬木くんのことを話すと、彼女は
ちょっと驚いた様に、それでも嬉しそうに、そうなんだ、と言いました。
由比ちゃんも喬木くんのことが少なからず気になっていたみたいで。

あれ。わたしが骨折らなくてもなんだかうまくいきそうかな?

ねえ、トリさん。ふたりをよろしくね。

まえ とっぷ つぎ inserted by FC2 system